『子どもとコミュニティ』創刊にあたって

  • 2019.10.06 Sunday
  • 10:12

 

 

「コミュニティ(community)」や「ソサイエティ(society)」という言葉は、日本語では「地域共同体」や「社会」と翻訳されてきました。しかし、明治期に「ソサイエティ」という言葉が輸入されたとき、それに当たる集合体は日本にはありませんでした。日本にあったのは、「世間」と言われる「想像的な集合体」でした。

 

「コミュニティ」という言葉も、日本においてそれは一体何を指し示すのか、いまだ社会学等の領域では議論が継続されています。近年では、「市民社会(civil society)」といった言葉も流行しましたが、これもまた同じ状況です。「アイデンティティ(identity)」もまたしかり。日本人にとって、アイデンティティほど切実であるにもかかわらず、感覚的に馴染みのない言葉はないと言ってよいかもしれません。

 

 あなたはなぜだと思いますか? 私のこの問いかけへのレスポンスを、あなたからお聞かせいただける日を楽しみにしています。(一応、誤解のないように付け加えておきますが、私はここで、西洋と東洋の優劣をお話しているのではありません。)

 

 日本社会では長らく、「世間」から外れないような生き方、「世間」に恥ずかしくないような生き方、「世間」を気にした生き方を「暗黙のうち」にすすめられてきました。その中で、私たちは「かけがえのない大切な自分」をないがしろにしなければならなかった歴史があります。

 

 しかし、かけがえのない大切な自分を生きてこそ、私たちのいのちはいきいきとし、生の充実を感じ、人生を生ききる意味を知ることができるのではないでしょうか。ひとりひとりが自分を生ききることを承認し合う集合体が、真のコミュニティなのではないでしょうか。そこには、自発的な相互扶助が生まれるはずです。喜びも悲しみも心で深く味わうことができ、苦難という泥の中に自分の魂の萌芽を見ることができるはずです。

 

 新しいいのちである小さな子どもたちが、いきいきとかけがえのない大切な自分を育むにはどうしたらよいのか? 大人たちはこの問いを通して、自分自身を羽化させ、関係を織り上げ、未来の人びとへとつながる真に開かれたコミュニティ、真に平和な社会を創っていくことができると私は信じています。

 

 この小さな雑誌が、大人たちの問いを深め、また、日々の実践の一助になることを、心から願います。

 

 

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